2021/01/22

アンピンチビゲンゴロウ
Hydroglyphus flammulatus (Sharp, 1882)



体長2.2~2.5 mm。主に八重山諸島、本州、四国、九州では極めて局所的。
植物の茂った開放的な湿地や水田において少数みられた。
「flammula」=小さな炎
<2020年 11月4日 与那国島

チャマダラチビゲンゴロウ
Hydroglyphus inconstans (Régimbart, 1892)


体長1.8~2.0 mm。国内では南西諸島に分布する。
植物の茂った開放的な湿地や水田において少数みられた。
「in」=〜でない、「constans」=安定した
<2020年 11月4日 与那国島

2021/01/08

エサキタイコウチ
Laccotrephes maculatus (Fabricius, 1775)


体長16.0~18.0 mm。国内では与那国島にのみ分布する。
林内の薄暗い細流のよどみにおいてみられた。
「maculatus」=斑点のある
<2020年 11月5日 与那国島

2021/01/06

ウスイロケシカタビロアメンボの繁殖生態

ウスイロケシカタビロアメンボMicrovelia leveillei (Lethierry, 1877)は、体長1.4-2.3 mmのカタビロアメンボ科の一種である。本種は東南アジアやオーストラリア大陸まで広範囲に分布し、国内では南西諸島に分布する(中島ら, 2020)。
ここでは、ウスイロケシカタビロアメンボの繁殖生態に関して重要な記述のあるMiyamoto (1953)を日本語でまとめている。論文中では学名がM. dilutaとなっているが、その後M. leveilleiのシノニムとされているため、ウスイロケシカタビロアメンボのことを指している。本種はメスが非常に大型であり、オスが小型という顕著な性的二型を示す。興味深いことに、野外においても飼育下においても、ほとんどのメスの背面にはオスが張り付いている(図1)。
図1 野外におけるウスイロケシカタビロアメンボのペア

飼育していると、明らかにオスのほうが先に羽化し、メスは遅れて羽化していることに気が付いた。さらに、
Twitterにいらっしゃるカタビロアメンバーの方々と情報交換をしていると、「オスは羽化して間もないメスにマウントする」ということがわかった。注意深く観察していると、たしかに羽化直後の色づく前のメス成虫のペアを飼育下で発見した(図2)。この普通ではなさそうな繁殖生態に興味をもち、調べ始めたことが本稿の作成に至った経緯である。
図2 羽化直後のメス成虫の背面に乗るオス


Miyamoto (1953)では、ウスイロケシカタビロアメンボの生息環境や食性、交尾行動、産卵、さらには短翅型および幼虫期の記載まで行われている。ここでは特に交尾行動と産卵の部分の要点を以下にまとめている。本稿をきっかけに、どなたかがさらに詳しく調べてくださると幸いです。

交尾行動
<交尾前>
オスは、メスが5齢幼虫の時点で背面に乗ることがよくあり、4齢幼虫の時点で乗ることも稀にある(図2)。これはextraordinally(異常、突飛)である。
図2 写真を見返していて発見した、おそらく5齢の幼虫の背面に乗るオス

<交尾>
メス背面上のオスが前脚と中脚を使って背面後方へと移動し、交尾器を伸ばしてメスの交尾器に向ける。交尾中の雌雄の体軸がつくる角度は約30°である。交尾中、オスは中脚と後脚で体勢を保っている。

<交尾後のオスの生活>
オスは交尾後もメスの背面に乗ったまましばらく過ごすが、この期間が他のケシカタビロアメンボ属より長い。時には3日間も乗ったままということもある(図3)。
メスの背面に乗っている間、オスは頻繁には採餌をしないが、空腹になるとメスが捕獲した餌に口吻を突き刺して採餌する。このとき、オスは前脚でメスの触角や頭部をつかんで、メスの背面前方に移動している。メスが移動したり、他個体が接近してきたりすると、オスはするすると通常時の位置に戻る。
図3 メス成虫の背面に乗るオス成虫(from Miyamoto (1953))

<興味深い観察>
一例の観察では、5齢幼虫のメスが背面にオスを乗せた状態で羽化しようとしていた。しかし、そのメスは脱皮中に他のメス成虫に攻撃され、脱皮が完了する前に死亡した。背面に乗っていたオスはメスが死亡してから4時間以上も降りなかった(図4)。
図4 死亡したメスの背面に乗り続けるオス成虫(from Miyamoto (1953))


産卵
卵はゼラチン質の物質で石や水際の基質上に個別にもしくはまとまって産み付けられる。飼育下では水面下(水深1 mm以下)に産み付けられることもあった。
室内飼育の結果、1メスあたりの1日あたりの平均産卵数は7.4個であった(n = 3)。
多くの場合、産卵は正午から午後4時にみられた。
メスは羽化後15〜16日間で成熟した(n = 2)。


以上のことから考えた、個人的な感想や疑問を箇条書きにしておく。

・本種のオスは、メスが成熟する前の、しかも幼虫期から交尾前ガードをしている珍しい例。
・オス成虫は、幼虫で雌雄を識別している可能性がある。
・メス幼虫や成熟前のメス成虫は、オスがマウントした際に拒絶する行動を示さないのか。
・交尾後ガードの期間も3日間と長い。ホルバートケシカタビロアメンボでは2時間程度(unpublished data)。
・背面上のオスは、メスの餌を採餌することがある=盗み寄生(kleptoparasitism)の例。
・カタビロアメンボ科のPhoreticovelia属では、背面上のオスによる盗み寄生を減少させるために、メスは背面からろう状物質を生産してオスに与える(メスによる婚姻給餌)(Arnqvist et al., 2006)。ウスイロケシカタビロアメンボでも似たようなことが起きていそうな状況。
・メス幼虫の脱皮を、背面上のオスはどのようにやり過ごすのか。
・メスの性成熟に要する期間は、ホルバートケシカタビロアメンボやケシカタビロアメンボで1〜2日、カスリケシカタビロアメンボで3日である(Muraji & Nakasuji, 1988)。ウスイロケシカタビロアメンボではなぜ15〜16日とそれほど長いのか。


<引用文献>

Arnqvist, G., Jones, T.M. & Elger, M.A. (2006) Sex-role reversed nuptial feeding reduces male kleptoparasitism of females in Zeus bugs (Heteroptera; Veliidae). Biology letters, 2: 491-493.

Miyamoto, S. (1953) Biology of Microvelia diluta Distant, with descriptions of its brachypterous form and larval stages. Sieboldia, 1(2): 113-133, + plates 15-18.

Muraji, M. & Nakasuji, F. (1988) Comparative studies on life history traits of three wing dimorphic water bugs, Microvelia spp. Westwood (Heteroptera: Veliidae). Researches on Population Ecology, 30: 315-327.

中島 淳・林 成多・石田和男・北野 忠・吉富博之(2020)日本の水生昆虫. 351 pp. 文一総合出版, 東京.

2020/12/20

ヨナグニシジミガムシ
Laccobius yonaguniensis Matsui, 1993


体長2.5~2.7 mm。与那国島にのみ分布する。
水が滴る岩盤上においてみられた。
<2020年 11月6日 与那国島

ウエノチビケシゲンゴロウ
Microdytes uenoi M. Satô, 1972


体長1.4~1.6 mm。奄美大島、石垣島、西表島から記録されている。
林道脇の染み出しや渓流の浅いよどみでみられた。
非常に小型で、背面は明るい茶褐色。
<2020年 10月28日 西表島

アトホシヒラタマメゲンゴロウ
Platynectes chujoi M. Satô, 1982


体長4.9~5.8 mm。石垣島、西表島、与那国島に分布する。
林道脇の染み出しにおいてみられた。
背面は艶のある黒色で黄色の斑紋がよく目立つ。
<2020年 10月28日 西表島

2020/12/11

ケシカタビロアメンボ属の一種
Microvelia sp.

 

石垣島、西表島、与那国島で確認している不明種。
カスリケシカタビロアメンボより大型で流水域にみられる。
<2020年 10月29日 西表島

左:西表島産カスリケシカタビロアメンボ、右:不明種



2020/12/08

ヒラシマナガレカタビロアメンボ
Pseudovelia hirashimai Miyamoto, 1964


体長1.8~2.5 mm。石垣島、西表島、与那国島に分布する。
河川中流域〜下流域にみられた。
触角第1節は第4節より短く、
オスの後脚跗節第1節が第2節より長い。
<2020年 10月29日 西表島

長翅型

タカラナガレカタビロアメンボ
Pseudovelia takarai Miyamoto, 1964


体長1.9~2.4 mm。石垣島と西表島に分布する。
河川上流域や渓流のよどみにみられた。
触角第1節は第4節より長く、
オスの後脚跗節第1節が第2節より短い。
背面は赤みを帯びる。
<2020年 10月29日 西表島

2020/11/22

ヒメフチトリゲンゴロウ
Cybister rugosus (Macleay, 1825)


体長27~33 mm。南西諸島に分布する。絶滅危惧Ⅱ類。
植物の茂った池においてみられた。
腹面は胸部が黄褐色、腹部が黒褐色。
いくつかの地域では条例によって採集が禁止されている。
「rugosus」=しわの多い
<2020年 11月2日 石垣島

2020/11/19

タイワンオオミズスマシ
Dineutus mellyi mellyi Régimbart, 1882

国内最大級の体長15~20 mm。国内では与那国島にのみ分布。
林内を流れる河川の流れが緩やかなところやよどみで群泳していた。
オキナワオオミズスマシより体幅が大きく、背面がより盛り上がる。
<2020年 11月3日 与那国島

2020/11/15

ウスイロケシカタビロアメンボ
Microvelia leveillei (Lethierry, 1877)


体長1.4〜2.3 mm 与論島〜波照間島に分布。
水田脇のコンクリート張りの水たまりに多数みられた。
オスが小さく、メスが巨大。
<2020年 10月31日 西表島